2018年09月20日 13:54 公開

ソウル中央地方裁判所は19日、韓国の著名な演出家、李潤澤 (イ・ユンテク、65)被告に対し、9人の女性に性的暴行を加えたとして6年の実刑を言い渡した。

有名な劇団「演戯団コリペ」の芸術監督を務める李被告は、稽古中に複数の女優に暴行した罪で有罪となった。

同被告をめぐっては、女性17人が性的暴行で訴えを起こしていた。また、強姦罪にも問われていたが、被告は否認した。

世界各国でセクハラ被害者を支援する「#MeToo(私も)」運動が起こる中、李被告は韓国で糾弾された最も著名な男性の1人となった。

韓国では今年3月、有力な次期大統領候補とされていた安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事が秘書を繰り返し強姦していたと本人から告発され、辞任に追い込まれている。

また、著名な詩人の高銀(コ・ウン)氏や、映画監督の金基德(キム・ギドク)氏なども女性への性的暴行で非難を浴びた。

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李被告が有罪となった事件は2010年にさかのぼる。それ以前の疑惑は時効を過ぎていたため、起訴には至らなかった。

李被告の罪状は、ボイストレーニング中に女性の上半身を触ったり、自分の性器をマッサージすることを強要したとするものが8件。1件の強姦未遂罪でも起訴された。

裁判長は判決文で、「一連の行為はすべて演技指導の一環だと被告は主張しているが、被害者の明確な同意がなかったため、性的暴行と判断されるべきだ」と述べた。

しかしソーシャルメディア上では、判決に対する批判も出ている。

韓国のプラットフォームNaverでは、「刑が短すぎない? 女優の夢を追求しようとしていた女性たちの気持ちをくじいたのに」という書き込みがあった。

「もしセクハラが本人の言うように『指導メソッド』の一環なら、なぜ男性の被害者がいないのか? 権力を使って若い女性にセクハラした変質者にすぎない」という意見もあった。

李被告は釜山で自らの劇団を立ち上げた。国立劇場の芸術監督を務めたほか、いくつかの賞を受賞している。

被告は2月、記者会見を開いて性的暴行について謝罪していた。

「被害者に対し深くお詫びする。(中略)時々、思わずこうした行為に手を染めてしまった」

「その他に時には罪悪感を感じたものの、汚い欲望を抑えることができなかった。しかし誰も強姦していない。ソーシャルメディアに書かれること全てが真実ではない」

(英語記事 S Korean director jailed for sex assault