性的指向や性自認を暴露する,いわゆるアウティングでお困りの方へ

アウティングは違法行為です。場合によっては犯罪として処罰されることもあります。
アウティングについてお困りの方は,まずは私たちにご相談ください。

アウティングの違法性

アウティング(Outing)とは,LGBTなどに関し,本人の承諾を得ず,その性的指向や性自認を公表することであると言われています。

不法行為

まず,アウティング自体は,原則として民事上の不法行為にあたります。不法行為の一つである名誉毀損と構成することもできます。しかし,アウティングによって社会的評価が低下したと主張することに抵抗がある方もいると思います。ですので,プライバシーの侵害と構成する方が,実体にも合致していると思います。
また,職場の上司や同僚,学校の教師や同級生によって行われたアウティングは,セクハラにもあたります。セクハラについては「労働事件」の「セクハラ」のページをご覧ください。
もっとも,アウティングの態様・程度,その動機,被害者の性的指向などがどの程度周知されていたかなどの諸事情によっては,アウティングが不法行為に当たらないと評価されたり,または,不法行為に当たるとしても損害の程度は低いと評価されたりすることもあります。

犯罪

次に,アウティングの態様によっては,名誉毀損罪,脅迫罪にもあたります。さらに,アウティングすると脅し,義務のないことを行わせると強要罪,または,金品を交付させると恐喝罪にあたります。なお,強要罪と恐喝罪は未遂を処罰します。
以上のように,アウティングは,民事上も刑事上も違法行為にあたる可能性が大きいです。

アウティングに対する対処方法

アウティングがされる前と後では対処法が異なります。

アウティングの阻止

アウティングをするおそれがある人物に対し,アウティングが違法行為であること,アウティングをしたら刑事告訴や損害賠償を請求するつもりであることを警告して,アウティングを阻止しましょう。
警告の仕方としては,弁護士名義で内容証明郵便を相手方に送る方法と,弁護士が同行,または弁護士のみで相手に直接会って伝える方法のふたつが考えられます。
また,警告とは異なりますが,雑誌などでアウティングされるおそれがある場合には,出版等の差止めを裁判所に申し立てるという方法もあります。

刑事告訴・損害賠償

すでにアウティングがなされた場合には,刑事告訴と損害賠償請求のいずれか,または両方を行い,加害者の責任を追求することができます。