日本農村医学会雑誌
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子宮摘出前後の性生活
北川 寛古谷 元康王 正貫櫛渕 大策
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1987 年 36 巻 4 号 p. 933-936

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抄録

当院においては農協検診を推進しており, この際, しばしば子宮筋腫がみつかり, これに対して子宮全摘出術が行なわれているが, 女性にとって特有な臓器である子宮を摘出することは, 肉体的, 精神的苦痛が大きいと考えられる。そこで子宮摘出を受けた128名の婦人に対し, 手術前後に性生活において, どのような影響を受けているかを, アンケート調査するとともに考察を行なった。
1) 子宮筋腫の診断を受けると, 46.1%の人が性生活に変化を来たすが, 手術後は23.5%が手術前の性生活に戻る。
2) 術後の性生活開始時期は, 31~61日が最も多く44.5%, 次いで61日以後27.3%, 30日以内22.7%であった。
3) 性交時の症状として, 疹痛9.4%, 出血5.5%, 分泌物減少19.5%があり, 30%に性欲低下がみられた。日常生活では月経が無くなり, 快適になった者が多いが (57.8%), 術後頭重感, 疲労感, 体力低下を訴える者もみられた。
4) 術後の性障害を軽減するために, 心因的なものには術前術後に, 患者および夫への指導を十分行ない, 時には漢方療法やバリ治療も試みるべきである。
5) 今後高令化社会を迎え, 子宮全摘女性も増加することから, 心身医学的カウンセリングや一般社会への啓蒙的なアプローチも必要である。

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