Fichier de travail (INPUT) : ./CONTEXTES/espace.txt
Encodage utilisé (INPUT) : UTF-8
Forme recherchée : 家庭|家族|(F|f)am(í|i)lia(s?)
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- Ligne n°1 : 家庭 の 幸福
Ligne n°41 : ... 「 高い 。 いったい お前 は 、 どこ から 、 そんな 大金 を 算段 出来 た の ? 」- Ligne n°42 : 父 は 酒 と 煙草 と おいしい 副 食物 の ため に 、 いつも お金 に 窮 し て 、 それ こそ 、 あちこち 、 あちこち の 出版 社 から 、 ひどい 借金 を し て しまっ て 、 いきおい 家庭 は
Ligne n°43 : 貧寒 、 母 の 財布 に は 、 せいぜい 百 円 紙幣 三 、 四 枚 、 という の が 、 全く いつわり の 無い 実状 な の で ある 。 ...
Ligne n°115 : ... 屋台 で 飲み 、 ちょうど 街頭 討論 放送 の 時刻 に 、 さかん にげ え げ え ゲロ を 吐い て いる 。 楽しみ も 何 も あっ た もの で ない 。- Ligne n°116 : たのしみ に し て いる の は 、 れい の あの 役人 と 、 その 家族 で ある 。
Ligne n°117 : いよいよ 今夜 は 、 放送 で ある 。 役人 は 、 その 日 は 、 いつも より 一 時間 ほど 早く 帰宅 する 。 そうして 街頭 録音 の 放送 の 三 十 分 くらい 前 から 家族 全部 、 緊張 し て ...
Ligne n°116 : ... たのしみ に し て いる の は 、 れい の あの 役人 と 、 その 家族 で ある 。- Ligne n°117 : いよいよ 今夜 は 、 放送 で ある 。 役人 は 、 その 日 は 、 いつも より 一 時間 ほど 早く 帰宅 する 。 そうして 街頭 録音 の 放送 の 三 十 分 くらい 前 から 家族 全部 、 緊張 し て
Ligne n°118 : 受信 機 の 傍 に 集る 。 ...
Ligne n°125 : ... ける 。 自分 が 予想 し て い た 以上 に 、 自分 の 答弁 が 快調 に 録音 せら れ て いる 。 まず 、 これ で よし 。 大過 無し 。 官庁 に 於け る 評判 も いい だろ う 。 成功 で ある 。 しか- Ligne n°126 : も 、 これ は 日本 国 中 に 、 いま 、 放送 せら れ て いる の だ 。 彼 は 自分 の 家族 の 顔 を 順々 に 見る 。 皆 、 誇り と 満足 に 輝い て いる 。
Ligne n°127 : 家庭 の 幸福 。 家庭 の 平和 。 ...
Ligne n°126 : ... も 、 これ は 日本 国 中 に 、 いま 、 放送 せら れ て いる の だ 。 彼 は 自分 の 家族 の 顔 を 順々 に 見る 。 皆 、 誇り と 満足 に 輝い て いる 。- Ligne n°127 : 家庭 の 幸福 。 家庭 の 平和 。
- Ligne n°127 : 家庭 の 幸福 。 家庭 の 平和 。
Ligne n°128 : 人生 の 最高 の 栄冠 。 ...
Ligne n°129 : ... 皮肉 でも 何 で も 無く 、 まさしく 、 うるわしい 風景 で は ある が 、 ちょっと 待て 。- Ligne n°130 : 私 の 空想 の 展開 は 、 その 時 にわかに 中断 せら れ 、 へん な 考え が 頭脳 を かすめ た 。 家庭 の 幸福 。 誰 が それ を 望ま ぬ 人 が あろ う か 。 私 は 、 ふざけ て 言っ て いる の
Ligne n°131 : では 無い 。 家庭 の 幸福 は 、 或いは 人生 の 最高 の 目標 で あり 、 栄冠 で あろ う 。 最後 の 勝利 かも 知れ ない 。 ...
Ligne n°130 : ... 私 の 空想 の 展開 は 、 その 時 にわかに 中断 せら れ 、 へん な 考え が 頭脳 を かすめ た 。 家庭 の 幸福 。 誰 が それ を 望ま ぬ 人 が あろ う か 。 私 は 、 ふざけ て 言っ て いる の- Ligne n°131 : では 無い 。 家庭 の 幸福 は 、 或いは 人生 の 最高 の 目標 で あり 、 栄冠 で あろ う 。 最後 の 勝利 かも 知れ ない 。
Ligne n°132 : しかし 、 それ を 得る ため に 、 彼 は 私 を 、 口惜し 泣き に 泣かせ た 。 ...
Ligne n°135 : ... の 病 中 の 空想 の 所産 で 、 実際 の 見聞 で 無い の は 勿論 ( もちろん ) で ある が 、 次 の 短篇 小説 の 主人公 も また 、 私 の 幻想 の 中 の 人物 に 過ぎ ない 。- Ligne n°136 : … … それ は 、 全く 幸福 な 、 平和 な 家庭 な ん だ 。 主人公 の 名前 を 、 かりに 、 津島 修治 、 と でも し て 置こ う 。 これ は 私 の 戸籍 名 な の で ある が 、 下手 に 仮名 ( かめ
Ligne n°137 : い ) を 用い て 、 うっかり 偶然 、 実在 の 人 の 名 に 似 て い たり し て 、 その ひと に 迷惑 を かける の も 心苦しい から 、 その よう な 誤解 の 起ら ぬ よう 、 私 の 戸籍 名 を 提供 ...
Ligne n°142 : ... 陽性 の 顔 で ある 。 津島 さん と 話 を し て おれ ば 苦労 を 忘れる と 、 配給 係り の 老嬢 が 言っ た 事 が ある そう だ 。 二 十 四 歳 で 結婚 し 、 長女 は 六 歳 、 その 次 の は 男の子 で- Ligne n°143 : 三 歳 。 家族 は 、 この 二 人 の 子供 と 妻 と 、 それから 、 彼 の 老母 と 、 彼 と 、 五 人 で ある 。 そうして 、 とにかく 、 幸福 な 家庭 な ん だ 。 彼 は 、 役所 に 於い て は 、 これ ま
- Ligne n°143 : 三 歳 。 家族 は 、 この 二 人 の 子供 と 妻 と 、 それから 、 彼 の 老母 と 、 彼 と 、 五 人 で ある 。 そうして 、 とにかく 、 幸福 な 家庭 な ん だ 。 彼 は 、 役所 に 於い て は 、 これ ま
Ligne n°144 : で 一つ も 間違い を し 出 かさ ず 、 模範 的 な 戸籍 係り で あり 、 また 、 細君 にとって は 模範 的 な 亭主 で あり 、 また 、 老母 にとって は 模範 的 な 孝行 息子 で あり 、 さらに ...
Ligne n°145 : ... 、 子供 たち にとって も 、 模範 的 な パパ で あっ た 。 彼 は 、 酒 も 煙草 も やら ない 。 我慢 し て いる の で は 無く 、 ほしく ない の だ 。 細君 が それ を 全部 、 闇屋 ( やみ や )- Ligne n°146 : に 売っ て 、 老母 や 子供 の よろこぶ よう な もの を 買う 。 ケチ で は 無い の だ 。 夫 も 妻 も 、 家庭 を たのしく する ため に 、 全力 を 尽し て いる の だ 。 もともと 、 この 家族
- Ligne n°146 : に 売っ て 、 老母 や 子供 の よろこぶ よう な もの を 買う 。 ケチ で は 無い の だ 。 夫 も 妻 も 、 家庭 を たのしく する ため に 、 全力 を 尽し て いる の だ 。 もともと 、 この 家族
Ligne n°147 : は 、 北多摩 郡 に 本籍 を 有し て い た の で あっ た が 、 亡父 が 中学校 や 女学校 の 校長 として 、 あちこち 転任 に なり 、 家族 も 共 について 歩い て 、 亡父 が 仙台 の 某 中学校 ...
Ligne n°146 : ... に 売っ て 、 老母 や 子供 の よろこぶ よう な もの を 買う 。 ケチ で は 無い の だ 。 夫 も 妻 も 、 家庭 を たのしく する ため に 、 全力 を 尽し て いる の だ 。 もともと 、 この 家族- Ligne n°147 : は 、 北多摩 郡 に 本籍 を 有し て い た の で あっ た が 、 亡父 が 中学校 や 女学校 の 校長 として 、 あちこち 転任 に なり 、 家族 も 共 について 歩い て 、 亡父 が 仙台 の 某 中学校
Ligne n°148 : の 校長 に なっ て 三 年 目 に 病歿 し た ので 、 津島 は 老母 の 里心 を 察し 、 亡父 の 遺産 の ほとんど 全部 を 気前 よく 投じ て 、 現在 の この 武蔵野 ( むさし の ) の 一角 に 、 八 ...
Ligne n°151 : ... し さ 、 思わず パンパン と 太陽 に 向っ て 柏手 ( かしわ で ) を 打っ て 礼拝 する の で ある 。 老母 妻子 の 笑顔 を 思え ば 、 買い出し の お 芋 六 貫 も 重く は 無く 、 畑 仕事 、 水- Ligne n°152 : 汲 ( み ずく ) み 、 薪 割 ( まき わ ) り 、 絵本 の 朗読 、 子供 の 馬 、 積木 の 相手 、 アン ヨ は 上手 、 つつましき ながら も 家庭 は 常に 春 の 如く 、 かなり 広い 庭 は 、 こと ご
Ligne n°153 : とく 打ち たがやさ れ て 畑 に なっ て は いる が 、 この 主人 、 ただ の 興 覚め の 実利 主義 者 とかいう もの と は 事 ちがい 、 畑 の ぐるり に 四季 の 草花 や 樹 の 花 を 品 よく 咲か ...
Ligne n°153 : ... とく 打ち たがやさ れ て 畑 に なっ て は いる が 、 この 主人 、 ただ の 興 覚め の 実利 主義 者 とかいう もの と は 事 ちがい 、 畑 の ぐるり に 四季 の 草花 や 樹 の 花 を 品 よく 咲か- Ligne n°154 : せ 、 庭 の 隅 の 鶏舎 の 白色 レグホン が 、 卵 を 産む 度 に 家中 に 歓声 が 挙り 、 書きたて たら きり の 無い ほど 、 つまり 、 幸福 な 家庭 な ん だ 。 つい 、 こないだ も 、 同僚 か
Ligne n°155 : ら 押しつけ られ て 仕方 無く 引き受け た 「 た から くじ 」 二 枚 の うち 、 一 枚 が 千 円 の 当り くじ だっ た が 、 もともと 落ちつい た 人 な ので 、 あわて ず 騒が ず 、 家族 の 者 ...
Ligne n°154 : ... せ 、 庭 の 隅 の 鶏舎 の 白色 レグホン が 、 卵 を 産む 度 に 家中 に 歓声 が 挙り 、 書きたて たら きり の 無い ほど 、 つまり 、 幸福 な 家庭 な ん だ 。 つい 、 こないだ も 、 同僚 か- Ligne n°155 : ら 押しつけ られ て 仕方 無く 引き受け た 「 た から くじ 」 二 枚 の うち 、 一 枚 が 千 円 の 当り くじ だっ た が 、 もともと 落ちつい た 人 な ので 、 あわて ず 騒が ず 、 家族 の 者
Ligne n°156 : たち に も また 同僚 に も 告げ 知らせ ず 、 それ から 数 日 経っ て 出勤 の 途中 、 銀行 に 立ち寄っ て 現金 を 受け取り 、 家庭 の 幸福 の ため に は 、 ケチ で 無い どころか 万金 を ...
Ligne n°155 : ... ら 押しつけ られ て 仕方 無く 引き受け た 「 た から くじ 」 二 枚 の うち 、 一 枚 が 千 円 の 当り くじ だっ た が 、 もともと 落ちつい た 人 な ので 、 あわて ず 騒が ず 、 家族 の 者- Ligne n°156 : たち に も また 同僚 に も 告げ 知らせ ず 、 それ から 数 日 経っ て 出勤 の 途中 、 銀行 に 立ち寄っ て 現金 を 受け取り 、 家庭 の 幸福 の ため に は 、 ケチ で 無い どころか 万金 を
Ligne n°157 : も 惜しま ぬ 気前 の いい ひと な の だ から 、 彼 の 家 の ラジオ 受信 機 が 、 ラジオ 屋 に 見せ て も 、 「 修繕 の 仕様 が 無い 」 と 宣告 さ れ た ほど に 破損 し て 、 この 二 、 三 年間 ...
Ligne n°162 : ... の ラジオ が 歌い はじめる の を 聞い て その 興奮 、 お 得意 、 また 、 坊や の 眼 を ぱちくり さ せ ながら の 不審 顔 、 一家 の 大笑い 、 手 に とる よう に わかる の だ 。 そこ へ 自- Ligne n°163 : 分 が 帰っ て 行っ て 、 「 た から くじ 」 の 秘密 を はじめて 打ち明ける 。 また 、 大笑い 。 ああ 、 早く 帰宅 の 時間 が 来れ ば よい 。 平和 な 家庭 の 光 を 浴び たい 。 きょう の
Ligne n°164 : 一 日 は 、 ばか に 永い 。 ...
Ligne n°179 : ... っきり わから ない けれども 、 とにかく 、 その 女 は 、 その 夜半 に 玉川上水 に 飛び込む 。 新聞 の 都下 版 の 片隅 に 小さく 出る 。 身元 不明 。 津 島 に は 何 の 罪 も 無い 。 帰- Ligne n°180 : 宅 す べき 時間 に 、 帰宅 し た の だ 。 どだい 、 津島 は 、 あの 女 の 事 など 覚え て い ない 。 そうして 相 変ら ず 、 にこにこ し ながら 家庭 の 幸福 に 全力 を 尽し て いる 。
Ligne n°181 : だいたい こんな 筋書 の 短篇 小説 を 、 私 は 病 中 、 眠ら れ ぬ まま に 案出 し て み た の で ある が 、 考え て みる と 、 この 主人公 の 津島 修治 は 、 何 も ことさら に 役人 で 無 ...
Ligne n°184 : ... 庭 の エゴイズム 、 と でも いう べき 陰鬱 な 観念 に 突き当り 、 そうして 、 とうとう 、 次 の よう な 、 おそろしい 結論 を 得 た の で ある 。- Ligne n°185 : 曰 ( いわ ) く 、 家庭 の 幸福 は 諸悪 の 本 ( もと ) 。
Ligne n°186 : __________________________________________________________________ ...