Fichier de travail (INPUT) : ./CONTEXTES/espace.txt
Encodage utilisé (INPUT) : UTF-8
Forme recherchée : 家庭|家族|(F|f)am(í|i)lia(s?)
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- Ligne n°1 : 家族 といふ もの
- Ligne n°5 : 青年 時代 に 、 自我 に め ざむるにつれて 、 人 は 次第に 家族 から 孤立 せ ざる を え ない やう に なる 。 自分 の 友情 、 恋愛 、 求道 について は 、 両親 は 必ずしも 良き 教師
Ligne n°6 : で は ない 。 むしろ 敵対 者 として あら はれる 場合 が 多い で あらう 。 これ は 家族 制度 そのもの の 罪 と のみ は 言 へ まい 。 どの やう に 自由 な 家族 で あ つて も 青年 は ひと ...
Ligne n°5 : ... 青年 時代 に 、 自我 に め ざむるにつれて 、 人 は 次第に 家族 から 孤立 せ ざる を え ない やう に なる 。 自分 の 友情 、 恋愛 、 求道 について は 、 両親 は 必ずしも 良き 教師- Ligne n°6 : で は ない 。 むしろ 敵対 者 として あら はれる 場合 が 多い で あらう 。 これ は 家族 制度 そのもの の 罪 と のみ は 言 へ まい 。 どの やう に 自由 な 家族 で あ つて も 青年 は ひと
- Ligne n°6 : で は ない 。 むしろ 敵対 者 として あら はれる 場合 が 多い で あらう 。 これ は 家族 制度 そのもの の 罪 と のみ は 言 へ まい 。 どの やう に 自由 な 家族 で あ つて も 青年 は ひと
Ligne n°7 : たび は 離反 する で あら う 。 孤立 せ ん と する 精神 に と つて は 、 与 へら れ た もの は すべて 不満足 な の だ 。 これ は 精神 形成 の 性質 から 云 つて 、 不可避 の こと と 思は れ ...
Ligne n°7 : ... たび は 離反 する で あら う 。 孤立 せ ん と する 精神 に と つて は 、 与 へら れ た もの は すべて 不満足 な の だ 。 これ は 精神 形成 の 性質 から 云 つて 、 不可避 の こと と 思は れ- Ligne n°8 : る 。 何故 なら 、 精神 は その 本質 上 単一 性 を 帯び た もの で 、 いかなる 種類 の 徒党 、 複数 性 から も 独立 せ ん と する 意志 で ある から だ 。 そして 家族 が その 最初 の 抵抗
Ligne n°9 : 物 として 意識 さ れる 。 ...
Ligne n°9 : ... 物 として 意識 さ れる 。- Ligne n°10 : 強い 精神 ほど 孤立 する 。 た と ひ 父母 へ の 愛 を 失は なく とも 何となく よそよそしい 態度 を とる やう に なる 。 家族 の 中 の 云 は ば 「 異邦 人 」 と なる の が 青年 期 だ 。
Ligne n°11 : 肉親 の 理解 を 得 られ ない と すれ ば 、 なほ さら の こと 孤立 する 。 人間 に はじめて 孤独 感 を 与 へる の は その 家族 だ と 云 つ て い ゝ かも しれ ない 。 フランス の 或 る 哲人 ...
Ligne n°10 : ... 強い 精神 ほど 孤立 する 。 た と ひ 父母 へ の 愛 を 失は なく とも 何となく よそよそしい 態度 を とる やう に なる 。 家族 の 中 の 云 は ば 「 異邦 人 」 と なる の が 青年 期 だ 。- Ligne n°11 : 肉親 の 理解 を 得 られ ない と すれ ば 、 なほ さら の こと 孤立 する 。 人間 に はじめて 孤独 感 を 与 へる の は その 家族 だ と 云 つ て い ゝ かも しれ ない 。 フランス の 或 る 哲人
Ligne n°12 : は 、 神 は 人間 を 孤独 に する ため に 妻 を 与 へ 給う たと さ へ 言 つて ゐる 。 奇警 な 言 の やう に みえる が 、 精神 は それ が 精神 で ある かぎり 、 つねに 「 一 」 で あら ね ば な ...
Ligne n°12 : ... は 、 神 は 人間 を 孤独 に する ため に 妻 を 与 へ 給う たと さ へ 言 つて ゐる 。 奇警 な 言 の やう に みえる が 、 精神 は それ が 精神 で ある かぎり 、 つねに 「 一 」 で あら ね ば な- Ligne n°13 : ら ぬ もの で あり 、 「 二 」 の 複数 は すでに 致命 的 な もの で ある 。 家族 と は 精神 に と つて の 一 の 悲劇 に ち が ひ ない 。
Ligne n°14 : 古来 わが国 に 行 はれ た 「 出家 」 も 、 宗教 的 意味 を もつ の は むろん だ が 、 その 単一 性 の 純粋 な 確保 に よ つて 、 仏 に 直結 せ ん と する 止み がたい 欲求 で あつ た と 云 ...
Ligne n°14 : ... 古来 わが国 に 行 はれ た 「 出家 」 も 、 宗教 的 意味 を もつ の は むろん だ が 、 その 単一 性 の 純粋 な 確保 に よ つて 、 仏 に 直結 せ ん と する 止み がたい 欲求 で あつ た と 云- Ligne n°15 : へる 。 自我 の め ざむるにつれて 、 青年 は すでに 「 心 の 出家 」 を 始め た と み て よい 。 家族 へ の 反逆 で あり 、 否定 で あり 、 破壊 で ある 。 人 は 恋 を 得る とともに 、 自
Ligne n°16 : 分の 家 が もはや 自分 の 家 で は ない やう に 思ふ もの だ 。 「 家出 」 の 危険 は 必 ら ず 内在 する と み て よい 。 親 の 愛 に と つて は 堪へ がたい こと かも しれ ない が 、 親 も ま ...
Ligne n°16 : ... 分の 家 が もはや 自分 の 家 で は ない やう に 思ふ もの だ 。 「 家出 」 の 危険 は 必 ら ず 内在 する と み て よい 。 親 の 愛 に と つて は 堪へ がたい こと かも しれ ない が 、 親 も ま- Ligne n°17 : た 一 度 は この 苦 さ を 経 なけれ ば なる まい 。 人間 の 独立 、 その ため に 家族 の 受ける 陣痛 の やう な もの だ から 。
Ligne n°18 : * ...
Ligne n°25 : ... 「 私 は 此 の 頃 熟 ※( 二 の 字 点 、 1 - 2 - 22 )- Ligne n°26 : 出家 の 要求 を 感じ ます 。 私 は 一度 隣人 の 関係 に 立た なく て は 親 を 愛する こと が 出来 ない やう に 思ひ ます 。 昔 から 聖者 たち に 出家 する もの の 多 かつ た の は 、 家族
Ligne n°27 : といふ もの と 、 隣人 の 愛 といふ もの と の 間 に ある 障礙 が ある ため と 思は れ ます 。 」 ...
Ligne n°35 : ... と 親しく 呼ぶ こと は なかっ た [#「 なかっ た 」 は ママ ] 。- Ligne n°36 : 云 ふま で も なく 、 家族 の もつ エゴイズム を 否定 し た から で ある 。 家族 と は 求道 の 最も 大きな 障礙 かも しれ ない 。 「 隣人 へ の 愛 」 と 家族 の エゴイズム と は 、 必
- Ligne n°36 : 云 ふま で も なく 、 家族 の もつ エゴイズム を 否定 し た から で ある 。 家族 と は 求道 の 最も 大きな 障礙 かも しれ ない 。 「 隣人 へ の 愛 」 と 家族 の エゴイズム と は 、 必
- Ligne n°36 : 云 ふま で も なく 、 家族 の もつ エゴイズム を 否定 し た から で ある 。 家族 と は 求道 の 最も 大きな 障礙 かも しれ ない 。 「 隣人 へ の 愛 」 と 家族 の エゴイズム と は 、 必
Ligne n°37 : ず 衝突 する で あら う 。 父母 や 妻子 を 愛する やう に は 隣人 を 愛する こと は 出来 がたい の だ 。 愛 の エゴイズム を 否定 する こと に よ つて 、 自己 は 家族 の 只 中 に 孤立 す ...
Ligne n°36 : ... 云 ふま で も なく 、 家族 の もつ エゴイズム を 否定 し た から で ある 。 家族 と は 求道 の 最も 大きな 障礙 かも しれ ない 。 「 隣人 へ の 愛 」 と 家族 の エゴイズム と は 、 必- Ligne n°37 : ず 衝突 する で あら う 。 父母 や 妻子 を 愛する やう に は 隣人 を 愛する こと は 出来 がたい の だ 。 愛 の エゴイズム を 否定 する こと に よ つて 、 自己 は 家族 の 只 中 に 孤立 す
Ligne n°38 : る の で ある 。 同時に 、 それ が 自己 の エゴイズム で ある こと も 考へ ね ば なる まい 。 ...
Ligne n°38 : ... る の で ある 。 同時に 、 それ が 自己 の エゴイズム で ある こと も 考へ ね ば なる まい 。- Ligne n°39 : すべて の 宗教 は 、 家族 を 捨てる こと を 要請 する 。 人 として 之 は 不可能 で あら う 。 不可能 を 敢 へ て 為せ と 迫る の だ 。 キリスト は これ を 「 狭き 門 」 と 名づけ た 。
Ligne n°40 : この 絶対 至難 の 要請 の 前 に 、 人 は はじめて 自己 の 無力 を 知る で あら う 。 そして 無力 を 知る こと 自身 が 、 信仰 の 母胎 と なる 。 ...
Ligne n°40 : ... この 絶対 至難 の 要請 の 前 に 、 人 は はじめて 自己 の 無力 を 知る で あら う 。 そして 無力 を 知る こと 自身 が 、 信仰 の 母胎 と なる 。- Ligne n°41 : 考へ て みる と 、 人間 といふ もの は ふしぎ な もの だ 。 愛する こと に よ つて 家族 を つくる 。 結婚 は 家族 の 第 一基 石 で ある 。 しかも かう し て つくりあげ た もの が 、
- Ligne n°41 : 考へ て みる と 、 人間 といふ もの は ふしぎ な もの だ 。 愛する こと に よ つて 家族 を つくる 。 結婚 は 家族 の 第 一基 石 で ある 。 しかも かう し て つくりあげ た もの が 、
Ligne n°42 : やがて 自己 の 桎梏 に なる 。 家族 といふ もの は 、 人間 に と つて 宿命 的 な 悲劇 かも しれ ない 。 家族 制度 の 封建 性 を 、 政治 的 に 法律 的 に 解決 しよ う と 思ひ こむ の は 滑 ...
Ligne n°41 : ... 考へ て みる と 、 人間 といふ もの は ふしぎ な もの だ 。 愛する こと に よ つて 家族 を つくる 。 結婚 は 家族 の 第 一基 石 で ある 。 しかも かう し て つくりあげ た もの が 、- Ligne n°42 : やがて 自己 の 桎梏 に なる 。 家族 といふ もの は 、 人間 に と つて 宿命 的 な 悲劇 かも しれ ない 。 家族 制度 の 封建 性 を 、 政治 的 に 法律 的 に 解決 しよ う と 思ひ こむ の は 滑
- Ligne n°42 : やがて 自己 の 桎梏 に なる 。 家族 といふ もの は 、 人間 に と つて 宿命 的 な 悲劇 かも しれ ない 。 家族 制度 の 封建 性 を 、 政治 的 に 法律 的 に 解決 しよ う と 思ひ こむ の は 滑
Ligne n°43 : 稽 で は ない か 。 仮に それ が 出来 た として も 、 家族 そのもの の もつ 桎梏 は 永久 に なくなら ぬ で あら う 。 少く とも 絶えず 独立 する こと を 欲する 精神 に と つて は 。 ...
Ligne n°42 : ... やがて 自己 の 桎梏 に なる 。 家族 といふ もの は 、 人間 に と つて 宿命 的 な 悲劇 かも しれ ない 。 家族 制度 の 封建 性 を 、 政治 的 に 法律 的 に 解決 しよ う と 思ひ こむ の は 滑- Ligne n°43 : 稽 で は ない か 。 仮に それ が 出来 た として も 、 家族 そのもの の もつ 桎梏 は 永久 に なくなら ぬ で あら う 。 少く とも 絶えず 独立 する こと を 欲する 精神 に と つて は 。
Ligne n°44 : 恋愛 する 男女 は 、 肉親 の 家 を 離れ て 、 自ら の 「 家 」 を つくりあげよ う と する 。 そして 子 を 生み 、 新しい 家族 を か ゝ へ て また 同じ やう な 苦しみ を くり か へ す の ...
Ligne n°43 : ... 稽 で は ない か 。 仮に それ が 出来 た として も 、 家族 そのもの の もつ 桎梏 は 永久 に なくなら ぬ で あら う 。 少く とも 絶えず 独立 する こと を 欲する 精神 に と つて は 。- Ligne n°44 : 恋愛 する 男女 は 、 肉親 の 家 を 離れ て 、 自ら の 「 家 」 を つくりあげよ う と する 。 そして 子 を 生み 、 新しい 家族 を か ゝ へ て また 同じ やう な 苦しみ を くり か へ す の
Ligne n°45 : で ある 。 「 家 」 の 問題 、 「 家族 」 の 問題 は 、 人間 性 に と つて は 不可避 な 永久 的 な 悲劇 かも しれ ない 。 ...
Ligne n°44 : ... 恋愛 する 男女 は 、 肉親 の 家 を 離れ て 、 自ら の 「 家 」 を つくりあげよ う と する 。 そして 子 を 生み 、 新しい 家族 を か ゝ へ て また 同じ やう な 苦しみ を くり か へ す の- Ligne n°45 : で ある 。 「 家 」 の 問題 、 「 家族 」 の 問題 は 、 人間 性 に と つて は 不可避 な 永久 的 な 悲劇 かも しれ ない 。
Ligne n°46 : __________________________________________________________________ ...- Ligne n°48 : 底本 : 「 日本 の 名 随筆 別巻 42 家族 」 作品社
Ligne n°49 : 1994 ( 平成 6 ) 年 8 月 25 日 第 1 刷 発行 ...