Fichier de travail (INPUT) : ./CONTEXTES/espace.txt
Encodage utilisé (INPUT) : UTF-8
Forme recherchée : 家庭|家族|(F|f)am(í|i)lia(s?)
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Ligne n°1389 : ... 画 など を 画い たり し た 。 それ が 明治 末 年頃 の 事 で あり 、 やがて 柳 八重子 女史 の 紹介 で 初めて 私 と 知る やう に なり 、 大正 三 年 に 私 と 結婚 し た 。 結婚 後 も 油絵 の 研- Ligne n°1390 : 究 に 熱中 し て ゐ た が 、 芸術 精進 と 家庭 生活 と の 板ばさみ と なる やう な 月日 も 漸く 多く なり 、 その 上 肋膜 ( ろ くま く ) を 病ん で 以来 しばしば 病臥 ( びようが ) を
Ligne n°1391 : 余儀なく さ れ 、 後年 郷里 の 家君 を 亡 ( うし な ) ひ 、 つづい て 実家 の 破産 に 瀕 ( ひん ) する に あ ひ 、 心痛 苦慮 は 一 通り で なかつ た 。 やがて 更年期 の 心神 変調 が 因 ...
Ligne n°1453 : ... むつかしい やりくり が 必要 で あつ た 。 互に その 仕事 に 熱中 すれ ば 一 日 中 二 人 とも 食事 も 出来 ず 、 掃除 も 出来 ず 、 用事 も 足せ ず 、 一切 の 生活 が 停頓 ( ていとん )- Ligne n°1454 : し て しまふ 。 さ う いふ 日々 も かなり 重なり 、 結局 やつ ぱり 女性 で ある 彼女 の 方 が 家庭 内 の 雑事 を 処理 せ ね ば なら ず 、 おまけ に 私 が 昼間 彫刻 の 仕事 を すれ ば 、 夜
Ligne n°1455 : は 食事 の 暇 も 惜しく 原稿 を 書く といふ やう な 事 が 多く なる につれて 、 ますます 彼女 の 絵画 勉強 の 時間 が 食 は れる 事 に なる ので あつ た 。 詩歌 ( しい か ) の やう な ...
Ligne n°1513 : ... いか と 自ら 疑 つ た 。 又 彼女 に も 警告 し た 。 それ は 私 の 今後 の 生活 の 苦闘 を 思ふ と 彼女 を その 中 に 巻きこむ に 忍び ない 気 が し た から で ある 。 其の 頃 せまい 美術家- Ligne n°1514 : 仲間 や 女人 達 の 間 で 二 人 に関する 悪質 の ゴシツプ が 飛ばさ れ 、 二 人 とも 家族 など に対して 随分 困ら せ られ た 。 然し 彼女 は 私 を 信じ 切り 、 私 は 彼女 を むしろ 崇拝
Ligne n°1515 : し た 。 悪声 が 四 辺 に 満ちる ほど 、 私 達 は ますます 強く 結ば れ た 。 私 は 自分 の 中 に ある 不純 の 分子 や 溷濁 ( こん だく ) の 残留 物 を 知 つて ゐる ので 時々 自信 を 失ひ ...
Ligne n°1534 : ... 女 の 事 を 妹 さん か 、 夫人 か と 問 はれ た 。 友達 です と 答 へ たら 苦笑 し て ゐ た 。 当時 東京 の 或 新聞 に 「 山上 の 恋 」 といふ 見出し で 上高地 に 於け る 二 人 の 事 が 誇張 さ- Ligne n°1535 : れ て 書か れ た 。 多分 下山 し た 人 の 噂 話 を 種 に し た もの で あらう 。 それ が 又 家族 の 人達 の 神経 を 痛め させ た 。 十月 一 日 に 一山 挙 ( こぞ ) つて 島々 へ 下り た 。 徳本
Ligne n°1536 : 峠 の 山ふところ を 埋め て ゐ た 桂 の 木 の 黄葉 の 立派 さ は 忘れ 難い 。 彼女 も よく それ を 思ひ 出し て 語 つ た 。 ...
Ligne n°1539 : ... の 結婚 を 許し て もら ふ やう に 両親 に 申出 た 。 両親 も 許し て くれ た 。 両親 の もと に かし づか ず 、 アトリエ に 別居 する わけ な ので 、 土地 家屋 等 一切 は 両親 と 同居 す- Ligne n°1540 : る 弟 夫妻 の 所有 と する 事 に きめ て 置い た 。 私 達 二 人 は まつ たく 裸 の まま の 家庭 を 持つ た 。 もちろん 熱海 行 など は し なかつ た 。 それから 実に 長い 間 の 貧乏 生活 が
Ligne n°1541 : つづい た の で ある 。 ...